Z 0 0 Ⅱ

「足元気を付けろよー」
「歩きにくいです……」
「や、それもあるけど……そうじゃなくて」


はい、と首を傾げた茅野の方に、やっとラビが顔を向けた。
そして、ちょうど茅野が立つあたりの足元を指さす。


「ああ、ほら。そこにヘビがいるから。足上げたりするなよ」
「!?」


慌てて地面を見る。
だが、見えるのはうねった茶色い木の根や雑草、細い蔓ばかりだ。
まさか根っこに見えて実は、と目を凝らすが、動き出しもしないし頭があるようにも見えない。


「え? どこですか」
「ああ、そっちじゃなくて、こっち」


ラビはそう言って、軍手を嵌めた手を無造作に伸ばした。
草の中でぱっと握った手を、持ち上げる。

一瞬ぎょっとする茅野だったが、ラビがずるりと引っ張り出したのは、さっきからあちこちに這っているひょろひょろの蔦だ。

茅野は、首を傾げてそれをまじまじと見た。
ラビは確かに「ヘビがいる」と言ったはずだ。

ぱちりと瞬きをした茅野の目の前で――それは、突然動いた。


「っ!?」

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