Z 0 0 Ⅱ
声を出さずに目を丸くした茅野を見て、ラビが吹き出す。
ラビの手に握られている蔦がくねくねと蠢くのを、茅野は瞬きもせずに見つめた。
「クサヘビだよ。細いけど、長さは五キュビトもある」
「……か、顔はどこですか」
「ここ」
そう言って、ラビはひょい、と足元から何かをつまみ上げた。
蔦そのものの体に、茅野の小指の爪の半分もない頭がついている。
小さいくせに生意気にもかぱりと口を開けて威嚇するクサヘビを見て、茅野は溜め息を吐いた。
「なんだ、足上げるなとか言うから、危ないヘビなのかと思いました」
「危ないことは危ないけどな。一匹で人間なら三人殺せる毒を持ってる」
また声もなく後ずさった茅野に、ラビは平然と言った。
「言っただろ、そのためのブーツだ。変なもの触る時はなるべく顔から遠ざけろよ」
「変なもの触るな、とは、言わないんですね……?」
「だって変なものって触りたくなるだろ」
「どこの悪戯っ子ですかそれ……」