続・星屑チョコレート【短】
「あのね、それより寒いんだけど」


「繭さん、薄着ですもんね」


「家(ウチ)も会社も駅から近いし、社内は暖かいからこれで充分なのよ」


何よりも、こんな所に来る予定は無かったのだから、いつも通りの服装でも仕方ない。


不満を込めて橋本君を睨めば、彼は少しの間反芻(ハンスウ)するような表情を見せた後で、パッと顔を輝かせた。


「じゃあ、はい」


ニコニコと笑った橋本君が広げたのは、彼が着ているコート。


「……何のつもり?」


「ここに入って下さい」


「……バカ」


まるで名案だと言わんばかりの表情にため息をつくと、橋本君がクスクスと笑った。


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