【完】彼を振り向かせる方法
さっそく文庫本のコーナーへ行って本を手にとる先輩。
やっぱり本好きなんだなぁ…。
実は前から私の中で、先輩が好きなものは読書っていうイメージが勝手に定着してたんだ。
電車待ちしてるときとかたまに読んでたから。
私も先輩の横で適当に選んだ本を手に取ってみる。
……そしてそのまま、15分が経過した。
「……」
その間、ずっと黙りっぱなしの私たち。
もしかして先輩……本読むのに夢中で私のことなんて見えてない……?
物語にのめり込んで、立ち読みに徹する彼を覗き込む。
目で追っているのは羅列した文字とページをめくる彼自身の手のみって感じが……。
「せーんぱーい…」
静まった空間で小さな声をだす私。
もう一度、先輩の顔を覗いてみるけど全く反応はなし。
…もう……せっかくのデートなんだし、少しくらい私のこと見てくださいよ。
カケちゃんだって、今日のために一緒に洋服選んだりしてくれたのに。