【完】彼を振り向かせる方法
先輩。映画終わっちゃったよ……。
約二時間の格闘を終えた私は、徐々に明るくなっていく館内で小さく背伸びをした。
突然消えた先輩のジュースを自分のと合わせて持って、映画館を出る。
「ありがとうございました」
ゴミをスタッフの人に渡してから、すぐにケータイを開いて電話帳に。
『雛水陸先輩』
そう書かれた文字をタップして、ケータイを耳に当てた。
プルルル……プルルル……。
なんか、妙に緊張する。
そういえば私、先輩と電話するのってこれが初めてかも。
初電話がこんな理由だなんて……ちょっと切ないけど。