【完】彼を振り向かせる方法
『もしもし……』
4コール目でやっと電話に出た先輩。
「先輩っ、いまどこにいるんですか?!急にいなくなって……」
『あー……ごめん、先帰ってていいから』
「先に帰ってていいって……先輩は一体どこにいるんですか?」
『……幼馴染の家』
低い声が耳をかすめる。
「どうして……?なんで私になにも言わずに……」
『急用だったんだよ。……悪かった」
「……っ」
急用ってなんですか…?
そんな風に心のうちでは思っていても、言葉にしようとすると思考回路が邪魔をする。
しつこいって、思われたくない。
物分りのいい彼女じゃなきゃ、ダメだよね。
「わかりました……じゃあ」
そのまま私は電話を切った。