【完】彼を振り向かせる方法
*揺さぶる優しさ
「ヒーロチーッ」
「あっ、カケちゃん!」
時計台の下でこちらに向かって走ってくる彼に手を振った。
そうそう、ここ、先輩と待ち合わせしたのと同じ公園なんだよね。
「ハァ……待った?」
私の前で息を整えながらそう言ってくれるカケちゃん。
走って来てくれたんだろうな……。
それに、遊んでたところを邪魔しちゃったのに、嫌な顔一つしないで……。
「ううん、ありがとねカケちゃん」
彼の優しさに思わず笑顔になる私。
それにつられたのか、カケちゃんも少しはにかんで微笑んだ。
「とりあえず座るか」
「そうだね」
カケちゃんが指差したベンチに座ることになって、
私たちはそこに移動した。