【完】彼を振り向かせる方法




あれは確か、受験当日。


推薦入試だったから一緒に豊桜高校を受ける友達なんてほとんどいなくって……。


緊張からか家に筆記用具を全部忘れて来ちゃったことに、駅の前で気がついたんだよね。



それで、駅前のコンビニでシャーペンと消しゴムを買うことにしたんだ。



そのとき私のレジを担当していたのが、先輩だった。



「正直、お会計のときは顔なんて見てなかったんだけどね…。レジが終わったあと、先輩が声掛けてくれたんだ」



焦ってコンビニを出ようとした私は『受験生!』と、誰かに呼び止められた。




振り返るとそこには、


『がんばれよ』


と、レジから顔をのぞかせて笑う先輩がいた。



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