【完】彼を振り向かせる方法
だけど本当にそれだけで、先輩から「好き」という言葉を聞いたことは、
今の今まで一度もない。
「付き合ってくださいって言ったら、頷いてくれたけど……本当に私のことが好きなのかなんて、最初からはっきりわからなかったことなんだよね」
そう、よく考えれば、いまさら悩むことではないのかも。
今まではただ朝の短時間でも隣にいられるだけで、自惚れてたんだ。
だけど……やっぱり、先輩の本当の気持ちが知りたいよ。
「今日のデートだって、私だけがはしゃいでて、先輩はケータイばっかり……。こんなの、片想いのほうが…よっぽど楽しかったよ」
「…ヒロチー……」
ただ真っ直ぐ、先輩の気持ちを掴むために突っ走っていたあの頃のほうが、
嫌われるのを恐れて立ち止まってるいまの私よりずっと……かっこいい。