【完】彼を振り向かせる方法
「結構赤くなってんな……痛い?」
私の足元を一瞥して、心配そうな表情を見せるカケちゃん。
「ううんっ、全然平気」
「ほんとに?俺が絆創膏持ってたらよかったんだけど……」
「ほんとほんと。ありがとう、カケちゃん」
私を気遣ってくれる彼の優しさに自然と頬が緩んで笑いかけると、
カケちゃんはふいっと目を逸らした。
……あれ?
私今、変なことしたっけ?
「そういえば、さ……先輩はなんで途中でいなくなったんだよ?映画は一緒に見たんだろ?」
カケちゃんは私と視線を合わせず、真正面の時計台を見据えながらそう言った。
そんな彼の横顔が、ほんのりと赤いのは……やっぱり夕日のせいかな。