【完】彼を振り向かせる方法
……少しでもよかったこと、あったっけ。
ハンバーガーショップに並んでる時は怒られちゃったし、
先輩はケータイいじってて、全然喋れなかったし、
映画も一緒に観て盛り上がることなんてできなかった。
「今日……双子座12位だったのかなぁ……」
俯いて小さくそう呟くと、ずっとだんまりだったカケちゃんが、いきなりワハハと笑い出した。
「なんだよぉ、いきなり妙に可愛いこと言うのな?ヒロチーやっぱおもれーっ……」
星座占いって……そんなに面白い、かな?
大笑いするカケちゃんを見据えて、つられて笑ってしまう私。
「クスッ……カケちゃんこそ笑すぎだよ」
「だって、また俺の母ちゃんとダブるし」
「え、カケちゃんの?」
「いっつも星座占い基準でさ、今日は1位だから福引当たるかもーっつって、
スーパーのガラガラやるんだけど、その景品が毎度ティッシュなんだよな」
目の前に"ガラガラ"があるかのように、横に向けた拳で空中に円を描く。
そんなことを話しながらもまだケラケラと笑ってる。