【完】彼を振り向かせる方法
「へっ……?」
ドキッと跳ねる心臓とシンクロして、肩も上下する。
だ、だって、いきなり腕……っ。
いつも思うけど、やっぱり私こうゆうの慣れてない。
カケちゃんにとっては自然なことでも、私は意識しちゃうんだよ……。
「……チー、ヒーロチー。聞いてる?」
「え?」
目の前で手のひらをかざされて、やっと自分の世界から帰還する私。
またやってしまった……。
「あ、やっぱ聞いてなかった?」
「ちょっと考え事を……ごめんなさい」
「いや、でもボーッとしてるときの顔、ちょっと萌えたわ」
「モ、モエ……?」
何を言っているのかわからず首を傾げると、カケちゃんは左手の甲で口を隠すようにして小さく笑った。
「う……とりあえず、う……腕を、離しましょうか?」
うぅ……絶対不自然だし今の言い方。
キョドってるし、顔真っ赤だし、恥ずかしー……。