【完】彼を振り向かせる方法
そんな私を見るなり、ちょっとだけ首を傾げて手を退けるカケちゃん。
ふぅ……よかった。
男の子に触られるのって、すごく緊張するんだって、改めて知らされたような気がした。
「……ヒロチー、ちょっとそこで待っといて」
なんて私が呑気に考えていると、彼はそう言ってスッと私の前から姿を消し、公園の入り口に向かって走っていた。
「お、え⁉︎カケちゃん⁉︎」
「すぐ戻ってくるから!」
大きな声でそう返された数秒後には、カケちゃんは私の目で追える範囲を超えて、どこかに行ってしまっていた。
どこにいっちゃったの……?
仕方なくさっきまで座っていたベンチにもう一度腰掛ける。
あれ……今この公園にいるのってもしかして、
私だけ?
「うっ……」
閑散とした公園の周りを見渡して、思わず身震いしてしまう。
「は、早く帰ってきてよぉ……」