【完】彼を振り向かせる方法
「カ、カケちゃん、もう大丈夫ですっ」
何もしていないのに、どうして息荒立ててるんだろう私……。
「いいよ、もうちょっとこのまんまでも」
「い、いや、それはちょっと……」
色々……ダメっていうか。
無駄に心臓はバクバクするし、お腹はキューッて締め付けられるし……。
「……嫌?」
「嫌……なわけではなく、ですね」
「ん……じゃあ、延長ってことで」
「うぁ⁉︎」
情けない声を出すと、耳元でクスッ笑うカケちゃん。
だ、だって……いきなり後ろ首をぎゅって抑えて……首元に顔を、埋めさせるんだもん。
近すぎて見えてないけど、鼻の触れている感触で
彼の首筋が綺麗なラインを描いているんだって、わかってしまう。
フワッ……。
それと、この香り。
私と同じ香水のはずなのに、カケちゃんから香るそれは、妙に艶っぽく感じるんだ。