【完】彼を振り向かせる方法
「はい、10秒ピッタ」
そんなこんな考えを巡らせているうちに、タイムリミット。
カケちゃんのぬくもりが離れていくのと同時に、寒気を感じた。
あったかかったな……。
「ヒーロチー、またボーッとしてんぞー?」
「あ、え……」
「って……当たり前か。こんなことされたら、混乱する……よな」
ばつが悪そうに笑って、私から視線を背けるカケちゃん。
「混乱……私、してないよ」
「へ?」
すると彼は顔をあげて、目を真ん丸くした。
そうだよ私……。
別に、混乱してたわけじゃないんだ。
それよりもむしろ……さみしいって、思う気持ちの方が強かっただなんて、そんなまさか……
言えるわけない。
「寒いなぁって思ってたところだったし、ちょうどよかったよ。
もしかして、カケちゃんもちょっと肌寒かった?」
なんか私これじゃあ……自分に言い聞かせてるみたい……?