【完】彼を振り向かせる方法
「あ、やべ。コレ買ってきたことすっかり忘れてたっけ……」
……?
何かを思い出したかのように言うカケちゃんは、
左手首にぶら下がるビニール袋の中を詮索している様子。
「おしっ、じゃあとりあえずヒロチー、足だしてみ」
ニコッとスマイル全開で言われたら、従わないわけにはいかなくて……。
私はベンチに座ったまま、サンダルを履いた足をしゃがんでいるカケちゃんの方へ出した。
「脱がすよ」
「……ぬっ⁉︎」
「違うって、足だよアーシ」
いや、それはわかるんだけど……。
カケちゃんにサンダルを脱がしてもらうって、それなんか……超はずかしいと思うんです……。
ぐるぐるそんな思いを巡らせる私なんかそっちのけで、
カケちゃんの手は私の足に伸びてきていた。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「……ん?」
彼は上目遣いで私を見上げる。
か、かわいい……じゃなくて!
「その、今日たくさん歩いたし、夏だし、汗かいてるし……臭うと思うからその……」