【完】彼を振り向かせる方法
それに、カケちゃんにそうやって優しい笑顔を向けられると、鼻の奥がツンとなる。
なんでだろ……。
心が温まって、穏やかな気持ちなはずなのに、涙が溢れそうだなんて。
「優しいな……ほんと、カケちゃん優しすぎて早死するよ」
涙を耐えて、そんな冗談を言いながらそれを受け取った。
「早死ぃ?うーん……まぁ、たぶん大丈夫だよ」
「え?」
「ヒロチーが思ってるより、優しくないよ俺は」
足に絆創膏を貼り終えて顔を上げると、今度は真剣な表情のカケちゃん。
「できた?」
「……ん?」
「ばんどえーど」
彼は手当を終えた私の足を見据えて言った。
「あ、うん。ありがと……ほんとに」
それだけ言って、残りが入った絆創膏の箱をカケちゃんに手渡した。