【完】彼を振り向かせる方法
「ん?」
カケちゃんは私の声に気がついて、歩きながらこちらに視線を向けた。
「私ね、わかった気がする」
「わかった?」
「そ……カケちゃんがモテる理由」
「あー……別に俺はモテるわけじゃなくてさ……」
「女の子がしてもらって嬉しいこと、無意識でできるんだよ、カケちゃんって」
遠くを見つめるように何かを言おうとしたカケちゃん。
私はそれを遮った。
……なに言ってるんだろ。
褒め言葉のはずなのに、言い方はすごく皮肉めいていて、嫌な感じ。
どうしちゃったの?私。
「みんなにこんな優しく、接してたらさ……ごめん、なんでもない」
言いかけた言葉をなしにして、口を紡ぐ。
なんのために、どうして?
『みんなにこんな優しく接してたらさ、本当に好きな子に勘違いされちゃうんじゃない?』
こんなこと言おうとしてたのは、どうして?