【完】彼を振り向かせる方法
今の言葉は、彼のことを思いやって言おうとしたんじゃない。
だったら、私……どうして?
カケちゃんもそれっきり、黙ったまま。
私たちは二人で電車に乗って、お互い家の最寄り駅に到着してしまった。
そっか、カケちゃんと使ってる駅一緒なんだよね。
気まずくなっちゃったな……あんなに楽しかったのに。
……私のせい、か。
「じゃあ、またねカケちゃん。今日は本当にありがとう」
「ヒロチーあのさ、ちょっと俺のわがまま聞いてくんない?」
てっきり別れの挨拶が返ってくると思っていたから、
それは予想外の台詞だった。
街灯に灯された私たち二人の居場所。
駅の改札をでて少し歩いたところに、私たちはいた。
「わがまま?」
背を向けようとしていた身体を、カケちゃんの方に向け直した。
「うん……まぁ、ちょっとした賭けでもあるかな」
「どうゆうこと……?」
「とりあえず、イエスかノーか」