【完】彼を振り向かせる方法
え……待って、なにについてのイエスノー?
「カ、カケちゃんさ、何言ってるの?」
上からの光を浴びたカケちゃんの顔を、そっと覗き込む。
「んじゃあ、もういい?俺の本能に任せて」
本能って……そんな笑顔で言われても……。
「戸惑ってる顔、だよね……それ」
「あ、いや……」
「いいよ、もっと迷いなよ。そんで、さっきの言葉の続き聞かせてくんない?」
さっきの言葉って……私が繁華街を歩いてる時に咄嗟に言うのをやめた、あれ?
「俺のわがままはその後にするからさ」
…………。
今日は、不思議な夜だ。
いつも明るくて優しくて天真爛漫なカケちゃんのことを、
こんなにも意地悪く見せる……不思議な夜。
「『みんなに優しく接してたら……』の続き」
わかるよ、わかってるけどさぁ……。
「そ、それはその……あんまり気にしなくっていいってゆーか!大したことじゃないし……っ⁉︎」
否定を表すように目の前で手をヒラヒラとさせていると、
パシッとカケちゃんの大きな手に、その手首は掴まれてしまっていた。