【完】彼を振り向かせる方法
「さっきまでずっと考えてたから、俺」
え……もしかして、ずっとだんまりだったのはそのせいですか……?
「んで……考えてみて、相当喜んじゃったんだわ」
「……喜ぶ?」
「まぁ、確信はないけど……自信はついたってところか」
難しいことを言うんだ、カケちゃんは。
しかも、まだ手首を掴んだまま。
距離を保とうとしても、それを許さないと言っているような、
優しくも強引である彼の手の力。
「けどまだ、欲張ったりはしない。ヒロチーの心ん中が優先だから」
「……?」
「……だから、ひとつだけわがまま。いい?」
目を細めて笑う彼のその表情に、私はつくづく弱いなぁと思う。
「なんだかよくわからないけど……いいよ。
今日は散々カケちゃんに迷惑かけちゃったし」
ああ、これがイエスオアノーの疑問符だったのか、
と納得しながら、恩返しのつもりで頷いただけ……のはずだったのに。