【完】彼を振り向かせる方法
「そか、サンキュ」
"うん"
そんな私の返事はかき消された。
いや違う。
かき消されたんじゃない……。
チュッ──……
「……っ⁉︎」
小さなリップ音と共に、
呑み込まれたんだ。
「ね、だから言ったじゃん……
ヒロチーが思ってるほど、俺は優しくないんだって」
至近距離で見つめ合う私たちの間に、生暖かい風が吹いた。
身体の中に溜まっていく熱と、彼の真剣な眼差しを残しながら。