【完】彼を振り向かせる方法
わざとリップ音を響かせるように、唇を吸って……。
「ひゃぁぁ……」
考えるだけで頭の中がゴチャゴチャする。
あれからまともにカケちゃんと話してないし、
顔もろくに合わせられないし、
すごく……避けている気がする。
カケちゃんの名前がどこかで聞こえるごとに、私はビクッと反応してしまう毎日。
「なに変な声だしてんの?ほら、バーベキューのグループ分けするってよ」
「……あぁ、え?」
前の席の凛が振り返って言った言葉で、周りを見渡してみる。
ほんとだ。いつの間にかみんなガヤガヤ騒ぎながら、グループ決めをしている。
「つーかお前さぁ、ほんと最近アホヅラだよな。またイケメン彼氏となんかあったわけ?」
聞き慣れた声に顔をあげると、私たちのすぐ横に光波が立っていた。
「べ、べつにぃー、なんもありませんよ」
そうだよ、私誰にも言ってないんだ。
キスをされたこと……。
それ以前に、先輩とのデートのあとでカケちゃんと二人きりで会っていたことすら言えてない。