【完】彼を振り向かせる方法
「ヒロチー」
「へっ?」
不意に私を呼ぶ声が耳に入り、思わず跳ねるような返事を返してしまった。
ヒロチー、なんて呼ぶ人は……この世でカケちゃんしかいないしね。
「肝試しのペア、こん中で決めなきゃいけないらしいんだけど……どうする?」
「き……もだめし……?」
背筋が凍ったように動けなくなる。
ダメだ。地球上でベスト3に入るくらいに、苦手なフレーズ。
「千紘、私と組む?それとも公平にグッパーする?」
そうだった……そういえば凛と光波って、私がホラー苦手なの知らないんだぁ……。
その証拠にほら、目の前で凛はニコッと私に笑いかけてる。
「あのさぁ、ヒロチーは肝試しやめ……」
「じゃあさー、俺と凛がペアで、翔と千紘がペアでもいい?」
カケちゃんが何か言おうとしていたのを遮ったのは、光波だ。
仁王立ちのまま、偉そうにしきる光波だ。