【完】彼を振り向かせる方法
『へぇ……やっぱりなにかあったんだ』
え、なに?
私、墓穴掘ったわけ?
「え、光波知らなかったの?」
『知らない。けど、まぁなんかあっただろうなーとは思ってたけど。
ただ、今のお前の言葉で憶測が確信に変わった』
スラスラと出てくる言葉に感心しながら、苦笑いを浮かべた。
受話器越しでニヤニヤ顔の光波が想像できる。
『凛は割と鈍感だから気付いてないっぽいけど、
お前ら最近不自然すぎだったからな。全然喋らないし、目も合わせないし、朝も一緒に教室入ってこないし。
避けてんの丸わかり、主に千紘』
心の中透け透けなのかな、私って。
全部読み取られてる気がするよ……大したもんだな、光波って。
「それで……なんで私とカケちゃんの距離を縮めようとするわけ?」
そう、私はこれが聞きたかった。
すると、受話器の奥で光波はフッと笑った。
『たぶん俺のアテは外れてないとは思うけど……それを確認するには一応聞いといた方がいいな』
一体、なんのことを言ってるの?
『翔に、なにされた?』