【完】彼を振り向かせる方法
核心を突くように、光波は私にそう問いかけた。
キスをされた……だなんて、言えるわけがない。
「……そんなの、言えないよ」
『ふぅーん、キスでもされた?』
「へ……?」
『されたか?』
光波って、あのとき近くにいたりしたの……?
って、そんなはずないよね?
「な、な、な…………」
『されたんだ、へぇ〜さすが翔』
表情なんて見えてないのに、いつものドヤ顔が頭に浮かぶのはなんでだろう。
遠回しに、お見通しだと言われてるような感覚。
そして、徐々に私の温度はヒートアップ。
光波がこんなにも鋭い人間だったなんて……。
『で、あとは?それだけ?』
「……それだけって?」
『なんか言われなかったの?』
なんかって……例えばどんなことだろう。
記憶に残っている言葉といえば……アレ、かな?
「わがまま聞いて、って言ってた気がする。それで…………された」