【完】彼を振り向かせる方法
それは私がわかりやすいからなのか、それともいつもそばにいるからなのか……。
わからない、謎だ。
『あとさ、千紘』
「なに?」
『お前、早めにどうにかしろよ』
「え……?」
『お前には無愛想でクールな彼氏がいるんだろ?一応。
だったらちゃんとしろ。
翔に惹かれてるなら……いや、少しでも気持ちが揺らいでるんだったら、早めに落とし前つけろ』
落とし前って……。
『別に俺はどっちがいいとか知らない。それは千紘の気持ちの問題だし。
けど、面倒なことになる前にはちゃんと、決着つけて素直になること』
気持ちが揺らいでるだとか、カケちゃんに惹かれてるだとか、どっちがいいだとか……。
そんなのまるで、カケちゃんが私のことを好きで、私もカケちゃんを好きだって……
そう言ってるみたいに聞こえてしまう。
『あとは千紘の気持ち次第だから。ふぁ〜ねむ。そんじゃあ、また合宿でな』
「あ、うん……じゃあね」
そう言った直後、受話器から響く機会音が、耳の奥底まで届いた。