【完】彼を振り向かせる方法
*本気の温度
そしてやってきた、2泊3日の勉強合宿当日。
「ん〜っ!勉強って言っても、自然がいいよねここ!」
女子8人で寝泊まりする部屋のベランダに出て、私は大きく息を吸い込んだ。
葉っぱと土が混ざり合う匂い。
昨日雨が降っていたせいか、湿った空気も一緒に嗅覚を刺激する。
「千紘ー、黄昏(たそがれ)てないで早く1階のホール行くよ」
「はぁーい」
部屋にいる凛の呼ぶ声に従って、私はベランダを後にした。
肝試しは嫌だけど……楽しい合宿になるといいな……。
────……
「で?ユミちゃんは誰が好きなの?」
「や、やだなぁ……言わなきゃダメなの?」
「あったりまえじゃん!今日はガールズトークに浸るんだからね!」
一応、みんなで講義を受けて、
食堂でご飯を食べて、
お風呂に入って……各自自由な時間を持て余す今現在。
女子の中で暗黙のルールともされている、お泊りでのガールズトーク。
主に恋バナが、布団にうつ伏せた状態の私たちの中でも行われている最中なのだ。