【完】彼を振り向かせる方法
カケちゃんがプレイボーイだなんてこと、今に知ったことじゃないじゃん。
色んな人と色んな経験あるって、知ってたじゃん。
「そういえばさ、千紘ちゃんって翔と仲良いよね?」
ドクン……
いきなり話を振られて、私は目を泳がせた。
「あ、え……そうかな?同じ中学だったってだけだよ」
「ええ⁉︎そうなんだ!じゃあ翔の元カノの話とか知ってるの⁉︎」
「いや……それはよく知らないんだ」
震えた声を隠すのに、精一杯だった。
自分の気持ち?……そんなのわかんないよ。
全然、わかんないよ。
カケちゃんの話でこんなに胸が締め付けられて、痛くなって、涙が出そうになるわけも。
「あっ、そうだ!私この前千紘ちゃんに彼氏がいるって噂聞いたんだけどさ、それってマジ?てか誰?」
私の面持ちに気づくことなく、呑気に問いかけるマヤちゃん。
気づかれない方が、いいのか。