【完】彼を振り向かせる方法



みんな目をキラキラさせちゃってるし。


私と先輩は、そんなラブラブカップルとは程遠い関係なんだけどなぁ……。



しょうがない……さっさとかけて、さっさと切ろう。


用もないのに電話とか、一番嫌いそうだしね。



「ちょっとだけだよ」


「「やったぁー!」」



女の子たちの歓声を浴びながら、ケータイで先輩の名前を探しだした。



……2回目の電話、か。



やっぱり、緊張する。


一度息を吸い込んでから、ケータイを耳に当てた。




プルルル……

プルルル……

プルルル……



機械音が鳴り響いている間も、みんなの瞳は輝いて見えた。



『はい』


あ……先輩の声。



「お、ひさしぶりです。こんばんは」


『……うん。なに?今、合宿じゃないの?』


「あー、えーとそれが……ちょっと先輩の声を聞きたいなぁ、と思いまして……」



なに恥ずかしいこと、みんなの前で言ってんだ私……!



理由なんて咄嗟に思いつかなかったんだもん!



< 179 / 401 >

この作品をシェア

pagetop