【完】彼を振り向かせる方法
みんな目をキラキラさせちゃってるし。
私と先輩は、そんなラブラブカップルとは程遠い関係なんだけどなぁ……。
しょうがない……さっさとかけて、さっさと切ろう。
用もないのに電話とか、一番嫌いそうだしね。
「ちょっとだけだよ」
「「やったぁー!」」
女の子たちの歓声を浴びながら、ケータイで先輩の名前を探しだした。
……2回目の電話、か。
やっぱり、緊張する。
一度息を吸い込んでから、ケータイを耳に当てた。
プルルル……
プルルル……
プルルル……
機械音が鳴り響いている間も、みんなの瞳は輝いて見えた。
『はい』
あ……先輩の声。
「お、ひさしぶりです。こんばんは」
『……うん。なに?今、合宿じゃないの?』
「あー、えーとそれが……ちょっと先輩の声を聞きたいなぁ、と思いまして……」
なに恥ずかしいこと、みんなの前で言ってんだ私……!
理由なんて咄嗟に思いつかなかったんだもん!