【完】彼を振り向かせる方法
『ふーん……』
頬のあたりが一気に熱くなる私とは裏腹に、冷めた返事をする先輩。
言わなきゃよかった……。
"もう切っていい?"と口パクとジェスチャーで訴えても、
みんなは手をバッテンにするだけ。
どうしよう……喋ることなんてないよ……。
『陸〜っ、私の下着見なかった?』
「……え」
いまのって……間違いない、受話器から聞こえてきたものだ。
雛水先輩じゃない、同い年くらいの女の人の声。
『……見てない』
『えー、だって前泊りに来た時は……って、あんた電話してんの?誰?』
『別に……誰でもいいだろ』
電波の奥で繰り広げられる会話が、私の思考回路をショートさせた。
下着……?
それに、前も泊りに来たって……どうゆうこと?
お姉さんなんて、先輩にはいないはずなのに。