【完】彼を振り向かせる方法
だとしたら、この電話の奥にいる女の人は……誰?
しかも、私のことを聞かれたとき、言葉を濁してた。
「千紘ちゃん?」
放心状態となった私を、みんなが心配そうに見つめていた。
とりあえず、話さなきゃ。
「あの……先輩が今話してたのって……お姉さん、ですか?」
そんなの違うってわかってるのに、こんな質問しかできなかった。
『違う……幼なじみ』
"幼なじみ"
そのフレーズにどこか聞き覚えがある。
それも、この電話から聞いた覚えが。
────「幼馴染の家」
あぁ……そうだ。
あのデートの時、いなくなった先輩に電話をかけて、どこにいるのって尋ねた時……返ってきた言葉。
知らなかったな……幼なじみって、女の子だったんだ。
「そうですか、じゃあ、切りますね。おやすみなさい」
プチッ。
私は無理やり、先輩の言葉も待たずに遮断してしまった。