【完】彼を振り向かせる方法
カケちゃんは、私を後ろから抱きしめたんだ。
「か、カケちゃん」
「……ごめん」
耳元に触れるが触れないか、そんな近距離にある彼の唇が動くと同時に、
私の肩はピクッと反応した。
だって……くすぐったい。
それに、ドキドキしてる。
カケちゃんの洋服の匂いや、後ろから伝わる激しい鼓動に。
お風呂に入った後なのか、香水の匂いじゃなくて、純粋なカケちゃんの香り。
そんなことを考えるだけで、私の心臓は破裂寸前だった。
「別に……理性が切れたわけじゃないから」
「……え?」
「決めてたんだよ、ずっと。ヒロチーがあいつのことで泣いたら……こうするって」
ギュッ……。
その瞬間に、彼の力は増していく。
それに比例して私の胸も徐々に締め付けられていく。
頭が……ボーッとするよ。