【完】彼を振り向かせる方法
「俺さ、いくら冷たい奴でもヒロチーが好きならいいやって、結構本気で思ってたわけ」
「……うん」
今度は耳元じゃなくて、私の頭の上にコツンと顎を乗っけながら、彼は言った。
「だけどなんか、ヒロチーの話聞いてるとそいつ、ぶん殴りたくなっちゃって」
「え?」
「殴ってないけど」
まさかあのカケちゃんから、殴るなんて言葉が聞けるなんて……。
でもそっか……そんな風に思っててくれてたんだ。
「だから決めてたんだよ。ヒロチーが泣くほど辛くなったら、俺もう言っちゃおうって」
「……言う?」
「つーか、あんま我慢できてなかったけど……それに、混乱させてたみたいだし……色々」
それはもしかして……キスのことを、言ってるのかな?
そうだとわかると、そよ風のおかげで引き始めていた熱が、またぶり返した。
あぁ……けどカケちゃんは、誰にでもできるんだよね……キス。