【完】彼を振り向かせる方法




こんなこと考えて、なにを落ち込んでるんだろう、私は。



「けど、そろそろ分かってほしい」


逡巡している間に、私はカケちゃんに体をクルッと回転させられていた。


そしていま目の前に見えるのは、空でも海でもなく、背の高い彼の笑った表情。








「好きだ」







そんな言葉と一緒に、私は彼の腕の中におさまった。




あまりにも不意打ちで、あまりにもいつも通りの表情で、


夢か現かわからなくなった。




だけど、私の身体を抱きしめる彼の腕の震えが、

全てを現実だと物語っているような気がした。



< 189 / 401 >

この作品をシェア

pagetop