【完】彼を振り向かせる方法
こんなこと考えて、なにを落ち込んでるんだろう、私は。
「けど、そろそろ分かってほしい」
逡巡している間に、私はカケちゃんに体をクルッと回転させられていた。
そしていま目の前に見えるのは、空でも海でもなく、背の高い彼の笑った表情。
「好きだ」
そんな言葉と一緒に、私は彼の腕の中におさまった。
あまりにも不意打ちで、あまりにもいつも通りの表情で、
夢か現かわからなくなった。
だけど、私の身体を抱きしめる彼の腕の震えが、
全てを現実だと物語っているような気がした。