【完】彼を振り向かせる方法
「たださ……これからは覚悟しときなよ?」
「え……」
そう言った後でカケちゃんは、私の身体を包む腕の力を緩めて、視線を合わせた。
トクンッ。
ずっと抱きしめられていたせいで、目を合わせるのが久々な気がする。
そんな些細な実感で跳ねる心臓。
周りは暗くて、音も風と波の音しか聞こえないのに、
カケちゃんの存在はこれでもかというくらい大きく感じた。
「言っちゃったからには遠慮しないし……
絶対、俺の方が幸せにできるから」
「カケちゃん……」
「俺は、マジだよ」
彼はそう言ったあとで、また胸を締め付けるような笑顔を見せて、
チュッ……
私の熱く火照った頬に、優しくキスをした。