【完】彼を振り向かせる方法


向き合わなければ恋愛も、うまくいかない。

人の心に動かされて、ただ1人の存在を好きになる。

理屈なんて、通用しない。


極上の優しさや美しさがあったって、

俺はちっとも欲しくなんてない。




この子がいい。

その感情だけが、俺を高揚させる。


それに気づくのは、もう少し先のことだけど。




「カケちゃん」


「ヒロチー」



そして、放課後の居残り勉強で仲良くなるにつれ、俺たちは変なあだ名で呼び合うようになった。



俺が呼ばせたようなもんだったけど。



そして入試も無事終わり、俺はなんと彼女と同じ高校に合格した。


補欠ね、補欠。




「ヒロチー!見てほら、俺も春から豊桜高生!」


合格通知を一番最初に見せたのは、親でも先生でもなく、ヒロチーだったっけ。



「え⁉︎ほんとに⁉︎やったね、やったね……!よかったぁ……」


「うぉっ、何泣いてんだよヒロチー」


「だ、だってー……」



最後の放課後の教室で、俺はヒロチーの涙を拭った。



< 200 / 401 >

この作品をシェア

pagetop