【完】彼を振り向かせる方法
向き合わなければ恋愛も、うまくいかない。
人の心に動かされて、ただ1人の存在を好きになる。
理屈なんて、通用しない。
極上の優しさや美しさがあったって、
俺はちっとも欲しくなんてない。
この子がいい。
その感情だけが、俺を高揚させる。
それに気づくのは、もう少し先のことだけど。
「カケちゃん」
「ヒロチー」
そして、放課後の居残り勉強で仲良くなるにつれ、俺たちは変なあだ名で呼び合うようになった。
俺が呼ばせたようなもんだったけど。
そして入試も無事終わり、俺はなんと彼女と同じ高校に合格した。
補欠ね、補欠。
「ヒロチー!見てほら、俺も春から豊桜高生!」
合格通知を一番最初に見せたのは、親でも先生でもなく、ヒロチーだったっけ。
「え⁉︎ほんとに⁉︎やったね、やったね……!よかったぁ……」
「うぉっ、何泣いてんだよヒロチー」
「だ、だってー……」
最後の放課後の教室で、俺はヒロチーの涙を拭った。