【完】彼を振り向かせる方法
"そのとき"が来るかどうかもわからないのに。
まぁ……実際こうして、ヒロチーに触れられてるってことは、
俺の待っていたスパンも、無駄じゃなかったってこと……だよな。
俺はヒロチーの華奢な身体を抱きしめながら、小さく笑った。
「覚悟、しときなよ?」
もしかしたら今度こそ、キスですます余裕なくなるかもしんないし。
心の内でそう付け加えて、俺はヒロチーの身体をほどいた。
ほら。こうして、視線が合うだけでどうにかしてしまいたくなる。
ヒロチー。
別に知らなくてもいいから、ちょっと言わせてくんない?
「俺は、マジだよ」
ヒロチーと出会ってよかった。
同じ高校にこれてよかった。
俺が相談相手になれてよかった。
今度はマジで、俺を好きにさせるから。
その誓いを掲げるように
無垢な彼女の頬にそっと、
キスを捧げた。