【完】彼を振り向かせる方法
*接近と鼓動
キャーー……!
暗い暗い茂みの奥から響く、女の子の悲鳴。
耳を塞いでいても、それを感じ取ってしまう私。
とりあえず、いますぐここから逃げ出したい。
いま私はビクビクと肩を震わせたまま、肝試しの順番待ちをさせられている状態。
みんながいるからいいものの、中に入ったら2人。
それもカケちゃんと……。
そうだよ私、昨日の夜……あのカケちゃんに告白されたんだ。
戸惑ったけど、でも……
『俺は、マジだよ』
あぁぁぁ、なんでいま蘇るのよ……!
「千紘!」
「ぬわっ……⁉︎」
後ろから私の耳を塞いでいる手をパッと取り離した誰かが、
考え事に浸っている私の名前を大きな声で呼んだ。
心臓、止まるかと思った……。
「なにー?そんなに怖いの?」
「り、凛……驚かせないでよもー……」
後ろを振り向くと、首を傾げる凛が面白がって笑っていた。