【完】彼を振り向かせる方法
「ちょ……あのさ、それはさすがに……」
そう言うカケちゃんは、私の肩を持って引き離そうとする。
やだ……離れたくない。
それに負けまいと、全身の力を腕に注いだ。
「……さっき言ったばっかりじゃん、俺。理性崩させるなよって」
「え……」
カケちゃんの声が耳を掠めたその瞬間、私の身体はぬくもりに包まれた。
さっきとは違う、全然。
肩が、背中が、熱を持ってる。
「ったくお前はぁ……」
身体がもっと、もっと密着して、息を吸うのも苦行のさなか、
私は額になにかを感じた。
……これ、カケちゃんの鼓動……?
トクントクントクントクン……
胸に引きつけられた私の額に押し寄せる、荒波のような鼓動。
私と、おんなじだ。