【完】彼を振り向かせる方法
て、てゆーか今、私のこと"お前"って……。
うわぁ……カケちゃんにそんな風に呼ばれたの初めてだ。
それに、不思議と嫌じゃない。
というよりむしろ、心臓バクバクだ。
「俺が告ったこと、忘れたわけじゃないよね?」
そして突然、私の後頭部を手のひらで抑えながら彼は言った。
「忘れるわけ、ない」
当たり前じゃん。
現に今までだって、私の頭の中はカケちゃんのことばかり……。
「じゃあもう……知らないから、俺」
「え……?」
「点火したのは、ヒロチーだから」
その言葉と同時に、少し視線を上げた私の目にはカケちゃんの顔が映し出される。
さっきまで感じていたぬくもりは、そよ風とともに段々と薄れていった。