【完】彼を振り向かせる方法
「……っ」
敏感な唇から唇に伝わる、体温と恥ずかしさと少しの甘み。
カケちゃんのキスは思った以上に優しくて、心地いい。
これを他の女の子たちにも捧げていたのだとしたら
相当、妬けちゃうくらいにね。
「んっ……」
空気を吸うのも忘れそうなほど、クラクラする。
顎に添えられていた手も、いまは私の後頭部を支えてくれていて、
全身で感じてしまうんだ……彼の優しさを。
強引なのに、気遣いさえ感じられるキスなんだ。
なにも考えたくない。
もうずっと、ほんとにずっと、このまま2人きりの世界でいいのに。
カケちゃんがほんの少し前に言った言葉を思い出しながら、頭の隅でそう考えていた。
そして、フェードアウトしていく先輩への想い。
大きく濃厚になっていくカケちゃんへの想い。
あのね、私
カケちゃんのことが、大好きみたい。