【完】彼を振り向かせる方法
*先輩との決別
『夏休み中に空いてる日、ありませんか?お話ししたいことがあります』
そんなメールを雛水先輩に送ったのは、8月の中旬。
夏休みも後半に差し掛かる頃だった。
『明日ならいい。話だけなら俺の家くれば』
返信が来たのは、始業式の3日前の夜。
ふぅ……。
私はベッドに仰向けになって、何気なく息を吐いた。
先輩の家、か……。
こんな状況になって、初めてお邪魔することになるなんて。
家の場所は、なんとなく覚えてる。
コンビニで先輩が私を抱きしめてくれたあの夜、
わがままを言って先輩の家までついて行ったんだ。
もちろん、家の前までだけど。
少しでも長く一緒にいたかったし、
それにあのまま、先輩「じゃあ」って言って帰ってしまいそうだったから。
思えばあのときから冷めてたなぁ、先輩。
私は身体が火照ってなにも考えられなくて、あの日は1日眠りにもつけなかったっていうのに。