【完】彼を振り向かせる方法
隣にいるせいで、なにも伺えない状態。
いやでも、ある意味こっちの方がよかったのかも。
目が合った状態じゃ、舌もろくに回らなくなりそう……。
「……理由は?」
沈黙を破ったのは、先輩だった。
トーンも口調も変化のない、抑揚の乏しい声でそう言った。
「ごめんなさい……。好きな人が、出来ました」
俯きながら、声を絞り出した私。
なんて言われるんだろう。
軽い女だって見くびられる?
浮気女だって蔑まれる?
カケちゃんのことを好きだって気づいた時、私自身もそう思った。
だから仕方ないんだ、先輩にどう思われようと。
その覚悟だって、してきたんだから。
でもね……浮ついた気持ちなんかじゃない。
誰にどう言われたって私は……
カケちゃんのことが、大好きなんだから。