【完】彼を振り向かせる方法
*彼の部屋で
『ほぁ〜い、だれですか〜』
「か、上条千紘と申します……あの、その、翔くんはいらっしゃいますでしょうか……?」
目の前のインターホンから響く陽気な声に対して、硬直気味の私。
えっとー……いま、前方に見えるのはカケちゃんの一軒家のお家で……。
なんでこんなことになっているかというと、話は少し遡る。
事は昨日、先輩の家を出てから家に帰ったところから……かな。
お母さんに「電柱にぶつかって怪我をした」と嘘をついて湿布と絆創膏をもらい、
右頬の傷の手当てをして、
寝る準備万端ってときに私の携帯電話が震えた。
ディスプレイに表示される文字を見た瞬間、鼓動が加速したのを覚えてる。
『もしもし……俺だけど』
電話の奥から、愛しい声が聞こえた。