【完】彼を振り向かせる方法
久々に彼の声を聞いて、羽でも生えてしまいそうなほど幸せだった。
それでも、あのキスの後で話すのは初めてで、少し気まずかったんだけど……ね。
「うん、どうしたの?カケちゃん」
先輩の家にいるとき、心の中でいくら呼んでも応えのない呼びかけも、
このときはすぐそばで返ってくる。
そんなことがいちいち嬉しくて、胸が苦しかった。
『ごめん、こんな時間に』
「ううんっ、平気。全然平気だよ」
『すっごい急なお願いで悪いんだけどさ……』
「ん……?お願い?」
私はベッドの上で首を傾げた。
『明日その……俺の家、来てくれない……かな』
いつもよりも控えめで遠慮がちなカケちゃんの声は、少し震えてるように感じた。
もしかして……緊張とか、してたのかな?