【完】彼を振り向かせる方法
「バカ虹太(こうた)、なに覗き見してんだよ」
目の前のカケちゃんが私から視線を外して、後ろを振り向いて言った。
そしてカケちゃんの影が退いたおかげで、私の目には色白な男の子と華奢な女の子がリビングを背景に映る。
「すっげぇ!カケ兄の彼女だ!」
私と目がパチッと合った男の子は、目をキラキラと輝かせてはしゃいだ。
か、かわいい……。
目がクリッとしていて、唇の色も鮮やかなピンク。
鼻の筋が通っているところは、カケちゃんにそっくりだ。
彼女……ではないんだけどね?
「これ虹太。いきなり大声だしたら失礼だろうが」
虹太くんの頭を軽くポンと叩きながらそう言ったのは、
ショートカットの女の子。
格好はTシャツ一枚にジーパンといった男顔負けな感じだけど、
髪の毛の隙間からチラリと垣間見える首から、細くて華奢な体立ちを感じる。
そっかそっか……この子達が、カケちゃんの家族なんだ。