【完】彼を振り向かせる方法
翼ちゃんが虹太くんをなだめてリビングの奥に戻っていく姿を見ながら、
私はほっこりとそんなことを感じていた。
「なんかカケちゃん、羨ましいなぁ」
カケちゃんの部屋を案内してもらう途中で、私は呟いた。
「え、俺?」
「うん、あんなに可愛い子達が、まだたくさんいるんでしょ?」
たしかこの前聞いた話だと、弟さんは虹太くんのほかにあと2人。
妹さんは翼ちゃんの他にあと1人。
「あぁ、残りはみんな保育園だよ。虹太は小3で翼は中2、俺らとおんなじ夏休みだからね」
階段を登りながら振り向いて、彼はニッと笑った。
保育園か……会いたいなぁ。
きっと、カケちゃんに似て笑顔の可愛い子達ばっかりだ。
「あ……あのさ、さっき言ってた謝りたいこと……なんだけどさ」
「ん?」
階段を登り終えたところで、カケちゃんはばつが悪そうに顔を俯かせた。