【完】彼を振り向かせる方法




「実はここに……」


「おいー、翔おっせぇよ。何してんだ……って、え?上条さん⁉︎」



カケちゃんが私の目を見て何かを言おうとしたそのとき、


いきなり横の扉が開いて、聞き覚えのある騒がしい声が耳に響いた。




「あ……えっと、尻無浜(しなしはま)くん?」



その声の主は、クラスメートの尻無浜くんだった。


私がその彼の方を向くと、カケちゃんは目の前でプーッと片頬を膨らませていた。



「俺が来るまで出るなって言ったじゃんか!」



そして尻無浜くんの方を向いて、怒鳴っている。



か、カケちゃんが怒ってる……といっても、なんか可愛い。



だって、両手をギュッと握りしめる仕草とか子供みたいで……。




「え〜だっておせーんだもん。つーか客って上条さんだったのかぁ。まぁいーや、とりあえず中入ろうよ、上条さんも」




尻無浜くんは私の肩に手を回して、ポンポンと軽く叩きながらカケちゃんの部屋へと促す。



なんだろう……慣れないな、こういうノリ。



こういうスキンシップとか……彼氏彼女じゃなくても、好きじゃなくても、普通なの?



< 279 / 401 >

この作品をシェア

pagetop