【完】彼を振り向かせる方法
「実はここに……」
「おいー、翔おっせぇよ。何してんだ……って、え?上条さん⁉︎」
カケちゃんが私の目を見て何かを言おうとしたそのとき、
いきなり横の扉が開いて、聞き覚えのある騒がしい声が耳に響いた。
「あ……えっと、尻無浜(しなしはま)くん?」
その声の主は、クラスメートの尻無浜くんだった。
私がその彼の方を向くと、カケちゃんは目の前でプーッと片頬を膨らませていた。
「俺が来るまで出るなって言ったじゃんか!」
そして尻無浜くんの方を向いて、怒鳴っている。
か、カケちゃんが怒ってる……といっても、なんか可愛い。
だって、両手をギュッと握りしめる仕草とか子供みたいで……。
「え〜だっておせーんだもん。つーか客って上条さんだったのかぁ。まぁいーや、とりあえず中入ろうよ、上条さんも」
尻無浜くんは私の肩に手を回して、ポンポンと軽く叩きながらカケちゃんの部屋へと促す。
なんだろう……慣れないな、こういうノリ。
こういうスキンシップとか……彼氏彼女じゃなくても、好きじゃなくても、普通なの?