【完】彼を振り向かせる方法
そもそも尻無浜くんと話したこと、あんまりない気が……
「しなしー、それやめろ」
モヤモヤと思い悩んでいると、後ろからピリピリとした空気が漂ってきた。
カケちゃんの声……っていうのは分かる。
でもなんか……
「んー?なに、なんのこと?」
「コレだよコレ」
低いし、ドス効いてるし、怖いよカケちゃん……!
「い、いでででで……!っにすんだよ翔!」
不機嫌オーラむんむんのカケちゃんは、私の肩に置かれていた尻無浜くんの手の甲をつねっていたようで……。
そのときの尻無浜くんの悲鳴は、私の鼓膜を揺らした。
思わず顔をしかめてしまったけど、どうやら肩は解放されたみたい。
「もうヒロチーに変なことすんなよ」
「わっ……」
ホッと一息ついて安心していると、目の前にカケちゃんの背中が現れた。
も、もしかして……私が困ってるのに気づいてくれた?
それで、尻無浜くんの手を……。